神淡路大震災といえば、石綿を思い浮かべます。
あの地震で倒壊した建造物や、その後の解体作業時に、石綿の粉末が大量に周囲の空気中に飛散したそうです。
ご存知ない方のために「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」などの情報をまとめると、石綿はいわゆる「アスベスト」のことで、石膏を固めたような白い固形物です。建物の断熱材や、学校などの天井に綿のように直接吹き付けられたりしてます。身近なところではドライヤーの中身やエアコン、理科室のガスバーナーの実験で使う金属網に白く塗られていたりしますね。そんな風によく使われているんですが、これが少しずつ空気中に繊維状になって飛散していくそうです。
ところが、これが人体にとって非常に危険な物質でして、発ガン性があり、またそれ自身毒性をもっているのですが、飛散した目に見えない粉を肺に吸い込むと、細長い針のような形状をしているため、非常に体外に排出されにくく肺内に沈着してしまうそうです。また、アスベストという言葉が「永遠不滅の」という意味であるとおり、化学的に非常に安定しているため、非常に溶けにくいそうです。肺に入った大抵の物質は、体外に排出されるか溶かされて消失するので問題ないそうなんですが、石綿はそうはいかないそうです。そのため、吸い込んでから30年から40年ほども経ってから症状を引き起こし、欧米では「静かな時限爆弾」と言われているそうです。主に胸膜や腹膜の中皮腫という病気になりやすく、いったん発癌したら予後が悪く治療の方法は現在も無しという状態です。なにしろ原因物質である肺内の石綿を除去するすべが無いわけですから…。それに、沢山吸ったら発病の危険ももちろん高くなるのですが、少なければ大丈夫といういわゆる「閾値」が存在しないことも特徴で、少量でも発癌の恐れがあります。そのためか、肺がんの80%が石綿が関連している、ということです。
こんな風に非常に危険な石綿ですので、アスベストをめぐる歴史をみると、多くの先進国では使用を禁止したり規制したりしていて、カナダは輸入全面禁止措置をとっておりフランスも使用禁止になっているようですが、残念ながら我が日本では現在でも使われ続けているようで、これからの50年で石綿が原因の患者さんの数が非常に増加していくという予測も出ています。
家やビルなどの解体現場の近くに住んでいても影響を受けますので、もしそういうところに住んでいたら、防塵マスクをつけるなどして自衛するように強くおすすめ(strongly recommend)します。静かな時限爆弾から自分の命の時間を守れるのは自分自身だけです。
- 1: 冬星 (09/05 21:09)
- 実はこの記事とかを、重要な記事としてみやすいように別カテゴリーにまとめておきたいんですよね…。
こういう形で書くとは思ってませんでしたが。