以下率直な思いです。事件に真剣に向き合うつもりの人だけご覧下さい。
香田さんが殺害された。
米国のイラク侵略については、9・11アタックを受けた米国民全体の剥き出しの怒りと復讐のはけ口がイラクに責任転嫁され、「大量破壊兵器の隠匿」という嘘の大義のもと、国連すら無視した米国による一方的な侵略戦争をひきおこし何千何万のイラク人が殺されることとなった。
きわめて間違った行為だ。米国民自身にも、侵略行為に対して反対を表明し反対運動をしている人が大勢いる。「大量破壊兵器」についても、それを攻撃の口実とするための言いがかりであったことが米国自体の後の調査で判明した。だが、ブッシュ支持は減少していない。なぜか。「殴られたら殴り返せ!」、そういう直接的で明確な動機をイラクへの攻撃がもっていたからだ。たとえ相手が違っていても誰かを殴りたかった、その上で石油資源の享受や利益を安定させたかったという単純な動機だ。
日本はどうか。そんな確かな動機などもってはいなかった。米国のイラク侵攻時に、小泉首相は真っ先に米国追従を表明し、軍艦を派遣し自衛隊を派兵した。その最初の追従表明時に「国益のためになるから追従する。」と明言した。日本の利益のために決定したということだ。
米国追従により発生する国益とは、一体なんだろうか。主に経済的な利益を表しているには違いない。つまりシンプルに言えば、「米国に逆らえば、今の国際貿易の利益を維持確保することが出来ない」ということだ。もっとかみくだいて言えば、「お金のために米国の侵略行為に加担します」ということだ。イラク国民がいつ「助けにきて欲しい」と求めたのか。求めていないのだ。押し売りでも、援助を受ければ結果的に喜ばれるというケースもあろう。しかし、被災国国民に求められて行ってはいないのだ。従来、イラク国民の日本に対するイメージは良いものだったのだ。それが今回の派兵以来、悪化の途をたどっているのは間違いないことだ。
日本の派兵は、時刻の利益のための「米国支持表明行為」なのだ。だから、空々しい。金のためにする派兵なんぞに大義もなければ実をもった動機もない。空虚なのだ。
その空虚に香田さんは殺された。こんな虚しい気持ちになったのは、大阪教育大学附属池田小学校の児童殺傷事件以来だ。
彼は予告どおり、おそらく手足を縛られ生きたまま首を切断されたであろう。どれほどの恐怖と痛みを受けただろう。ご両親のご心痛いかばかりか。察するに余りがありすぎる。思いうかべるだけで自分ですら心痛にたえられない。
その苦しみを、首相、あなたはどうお思いか。あなたの米国への強い追従志向、自衛隊強化、改憲への意志の結果であろう。また国民のみなさんは、どうお考えか。「政治への無関心」の積もりつもった結果ではないのか。政治と社会、この2点に対して、一人一人が意見を反映させようと、体を動かし変えてゆかねばならないのではないか。