物語を味わう深みとして、映画を例に映像作品の物語性の上下を考えたい。(当然フィクションが対象。)
一番下の下は、米国製ハリウッド映画だ。アクション。
敵は明白に悪。主人公は正義。ドンパチやって倒しておわり。なんのオチもない。敵を倒して唐突に終わるのが特徴。そして間にセックスシーンが無理やり挿入される。大衆娯楽映画と呼ばれる部類の中でも最も下賤で価値が低い。
次にくるのは、紋切り型。『水戸黄門』のように話の運びが決まりきったものだ。シンデレラ物(あるとき助けられて幸せになる。王子様とゴールインでハッピーラッキー物。)、ドラキュラ物とか、超能力者物(主人公には特別な力がある)、ドラエもん(アイテム。とにかくアイテム)、少年ジャンプ物(主人公と戦って負けた敵は味方になる)などなど。初めて新しいジャンルができたときは新鮮だが、以後は飽き飽きする。
その次、悲劇物。救われない話。とにかく辛くすればいいというタイプ。逆に、大笑いできる話でいい話がつくれたら、それは凄いといわざるを得ない。
わりといいものは、愛やふれあいに感動できるもの。愛にも色々ある。男女の愛、人類愛、動物や自然への愛、世界への愛などなど。決してセックスのことではない。セックスは愛に与えられた祝福のようなもんだ。
さらにいいものは、人間というものについて、深く考えさせられるもの。救いがたい習性や、変らない人間らしさのよさ、醜い部分…。それらが絶妙に盛り込まれたものは素晴らしい。
ノベルゲームでもかなり当てはまると思う。物語を作るなら、このあたりをよく考えて、自分が目指すのがどのレベルか決めてかからないと失敗するだろう。